分数関数の積分の解法
(2) 分子の次数 > 分母の次数
分子を分母で割った式より、分数式を分けて積分します。例えば、$$~~~~~~\frac{x^2+4x+1}{x+1}$$$$~=\frac{(x+1)(x+3)-2}{x+1}$$$$~=x+3-\frac{2}{x+1}$$
(3) 部分分数に分ける$$~~~\frac{1}{x(x+1)}=\frac{1}{x}-\frac{1}{x+1}$$$$~~~\frac{1}{(2x-1)(2x+1)}=\frac{1}{2}\left( \frac{1}{2x-1}-\frac{1}{2x+1} \right)$$これらの式を用いて、部分分数に分けて積分します。
(4) 分数の恒等式の計算を用いる。$$~~~\frac{x}{(x+1)(x-2)}=\frac{a}{x+1}+\frac{b}{x-2}$$この恒等式より、\(a,b\) の値を求めて、2つの分数式に分けて積分します。
問題解説:分数関数の積分
問題解説(1)
分子が分母を微分した式となっているので、$$~~~~~~\int \frac{(x^2-3x+5)’}{x^2-3x+5} dx$$$$~=\log |x^2-3x+5|+C$$よって、答えは \(C\) を積分定数として、$$~~~ \log |x^2-3x+5|+C $$となります。
問題解説(2)
相互関係の公式より、$$~~~~~~\int \frac{\sin{x}}{\cos{x}} dx$$分子が分母を微分した式となっているので、 $$~=\int \frac{-(\cos{x})’}{\cos{x}} dx$$$$~=-\log |\cos{x}|+C$$よって、答えは \(C\) を積分定数として、$$~~~ -\log |\cos{x}|+C $$となります。
問題解説(3)
分子を \(x-1\) で割ると、商が \(x-2\)、余りが \(3\) となるので、$$~~~~~~\int \frac{(x-1)(x-2)+3}{x-1} dx$$$$~=\int \left\{ \frac{(x-1)(x-2)}{x-1}+ \frac{3}{x-1} \right\} dx$$$$~=\int \left( x-2+\frac{3}{x-1} \right)dx$$$$~=\int x dx-2\int dx +\int \frac{3}{x-1} dx$$$$~=\frac{1}{2}x^2-2x+3\log |x-1|+C$$よって、答えは \(C\) を積分定数として、$$~~~ \frac{1}{2}x^2-2x+3\log |x-1|+C $$となります。
問題解説(4)
分母を因数分解した式を考えると、$$~~~\frac{1}{(x-1)(x+1)}$$ここで、$$~~~~~~\frac{1}{x-1}-\frac{1}{x+1}$$この式を通分すると、$$~=\frac{(x+1)-(x-1)}{(x-1)(x+1)}$$$$~= \frac{x+1-x+1}{(x-1)(x+1)}$$$$~= \frac{2}{(x-1)(x+1)}$$よって、この式より$$~~~\frac{2}{(x-1)(x+1)}= \frac{1}{x-1}-\frac{1}{x+1}$$両辺を \(2\) で割ると、$$~~~\frac{1}{(x-1)(x+1)}=\frac{1}{2}\left( \frac{1}{x-1}-\frac{1}{x+1} \right)$$この式を用いて、与式を式変形すると、$$~~~~~~\int \frac{dx}{x^2-1} dx$$$$~=\int \frac{1}{2}\left( \frac{1}{x-1}-\frac{1}{x+1} \right) dx$$$$~=\frac{1}{2}\left( \int\frac{1}{x-1}dx-\int\frac{1}{x+1}dx\right)$$$$~=\frac{1}{2}(\log |x-1|-\log |x+1|)+C$$$$~=\frac{1}{2}\log \frac{|x-1|}{|x+1|} +C$$$$~=\frac{1}{2} \log \left| \frac{x-1}{x+1} \right|+C$$よって、答えは \(C\) を積分定数として、$$~~~ \frac{1}{2} \log \left| \frac{x-1}{x+1} \right|+C $$となります。
問題解説(5)
分母を因数分解し、次のようにおくと、$$~~~\frac{x}{(x+3)(x-2)}=\frac{a}{x+3}+\frac{b}{x-2}$$両辺に \((x+3)(x-2)\) をかけると、$$~~~~~x=a(x-2)+b(x+3)$$$$~~~~~x=ax-2a+bx+3b$$$$~~~~~x=(a+b)x+(-2a+3b)$$両辺の係数を比較すると、$$~~~\biggl\{ \begin{eqnarray} a+b=1~\cdots{\large ①} \\ -2a+3b=0~\cdots{\large ②} \end{eqnarray}$$ここで、①×2+②より、$$~2(a+b)+(-2a+3b)=2\cdot1+0$$$$\hspace{ 20 pt}2a+2b-2a+3b=2$$式を整理して両辺を \(5\) で割ると、$$\hspace{ 10 pt}5b=2$$$$\hspace{ 15 pt}b=\frac{2}{5}$$これを①に代入すると、$$\hspace{ 10 pt}a+\frac{2}{5}=1$$移項すると、$$\hspace{ 10 pt}a=1-\frac{2}{5}$$$$\hspace{ 18 pt}=\frac{3}{5}$$これより、与式を式変形すると、$$~~~~~~\int \frac{x}{x^2+x-6}dx$$$$~=\int \left( \frac{3}{5}\frac{1}{x+3}+\frac{2}{5}\frac{1}{x-2} \right)dx$$$$~=\frac{3}{5} \int \frac{1}{x+3}dx+\frac{2}{5} \int \frac{1}{x-2} dx$$$$~=\frac{3}{5}\log |x+3|+\frac{2}{5} \log |x-2|+C$$よって、答えは \(C\) を積分定数として、$$~~~ \frac{3}{5}\log |x+3|+\frac{2}{5} \log |x-2|+C $$となります。
今回のまとめ
分数関数の積分は様々な解法があります。それぞれ問題の形から判断して計算できるように練習しておきましょう。