絶対値を含む定積分の解法
よって、\(|f(x)|\) を \(f(x)\) の正負によって場合分けをして、それぞれの区間で積分の計算をします。
例えば、$$~~~\int_{a}^{b}|f(x)|dx$$\(a≦x≦c\) の区間で \(f(x)≧0\) となり、
\(c≦x≦b\) の区間で \(f(x)<0\) となるとき、 この定積分は、$$~~~\int_{a}^{c}f(x)dx+\int_{c}^{b}\{-f(x)\}dx$$となります。
問題解説:絶対値を含む定積分
問題解説(1)
( ⅰ ) \(x-2≧0\) すなわち \(x≧2\) のとき、$$~~~|x-2|=x-2$$よって、$$~~~\int_{2}^{3}(x-2)dx$$( ⅱ ) \(x-2<0\) すなわち \(x<2\) のとき、$$~~~|x-2|=-(x-2)=-x+2$$よって、$$~~~\int_{0}^{2}(-x+2)dx$$以上より、$$~~~~~~ \int_{0}^{3}|x-2|dx$$$$~= \int_{0}^{2}(-x+2)dx+ \int_{2}^{3}(x-2)dx$$$$~=\left[ -\frac{1}{2}x^2+2x \right]_{0}^{2}+\left[ \frac{1}{2}x^2-2x \right]_{2}^{3}$$$$~=-\frac{1}{2}\cdot2^2+2\cdot2+\frac{1}{2}(3^2-2^2)-2(3-2)$$$$~=-\frac{1}{2}\cdot4+4+\frac{1}{2}(9-4)-2\cdot1$$$$~=-2+4+\frac{5}{2}-2$$$$~=\frac{5}{2}$$よって、答えは$$~~~\frac{5}{2}$$となります。
問題解説(2)
\(0≦x≦\pi\) の範囲において、
( ⅰ ) \(\cos{x}≧0\) すなわち \(0≦x≦{\Large \frac{\pi}{2}}\) のとき、$$~~~|\cos{x}|=\cos{x}$$よって、$$~~~\int_{0}^{\large\frac{\pi}{2}}\cos{x}dx$$( ⅱ ) \(\cos{x}<0\) すなわち \({\Large \frac{\pi}{2}}≦x≦\pi \) のとき、$$~~~|\cos{x}|=-\cos{x}$$よって、$$~~~\int_{\large\frac{\pi}{2}}^{\pi}(-\cos{x})dx$$以上より、$$~~~~~~ \int_{0}^{\pi}|\cos{x}|dx$$$$~= \int_{0}^{\large\frac{\pi}{2}}\cos{x}dx+ \int_{\large\frac{\pi}{2}}^{\pi}(-\cos{x})dx$$$$~={\Large [} \sin{x} {\Large ]}_{0}^{\large\frac{\pi}{2}}+{\Large [} -\sin{x} {\Large ]}_{\large\frac{\pi}{2}}^{\pi}$$$$~=\sin{\frac{\pi}{2}}-\sin{0}+(-\sin{\pi})-(-\sin{\frac{\pi}{2}})$$$$~=1-0+(-0)-(-1)$$$$~=1+1$$$$~=2$$よって、答えは \(2\) となります。
問題解説(3)
( ⅰ ) \(3^x-1≧0\) すなわち \(x≧0\) のとき、$$~~~|3^x-1|=3^x-1$$よって、$$~~~\int_{0}^{1}(3^x-1)dx$$
( ⅱ ) \(3^x-1<0\) すなわち \(x<0\) のとき、$$~~~|3^x-1|=-(3^x-1)=-3^x+1$$よって、$$~~~\int_{-1}^{0}(-3^x+1)dx$$
以上より、$$~~~~~~ \int_{-1}^{1}|3^x-1|dx$$$$~= \int_{-1}^{0}(-3^x+1)dx+ \int_{0}^{1}(3^x-1)dx$$$$~=\left[ -\frac{3^x}{\log 3}+x \right]_{-1}^{0}+\left[ \frac{3^x}{\log 3}-x \right]_{0}^{1}$$$$~=-\frac{1}{\log 3}(3^0-3^{-1})+\{0-(-1)\}$$$$\hspace{ 50 pt}+\frac{1}{\log 3}(3^1-3^0)-(1-0)$$$$~=-\frac{1}{\log 3}\left( 1-\frac{1}{3} \right)+1+ \frac{1}{\log 3}(3-1)-1$$$$~=-\frac{1}{\log 3}\cdot \frac{2}{3}+ \frac{1}{\log 3}\cdot 2$$$$~=-\frac{2}{3\log 3}+ \frac{2}{\log 3}$$$$~= -\frac{2}{3\log 3}+ \frac{6}{3\log 3}$$$$~= \frac{-2+6}{3\log 3}$$$$~= \frac{4}{3\log 3}$$よって、答えは$$~~~ \frac{4}{3\log 3}$$となります。
今回のまとめ
絶対値を含む定積分は、関数の変化によって定積分を変える必要があります。場合分けを用いて区間を調べましょう。