背理法のやり方
① 命題が成り立たないことを仮定する。
② この仮定より、矛盾が生じることを示す。
③ 命題が成り立つことが示される。
※ 仮定が間違っていることより、示される。
■ 無理数であることの証明
その実数が有理数であると仮定して、
\({\small (1)}~\)有理数 \(r\) で表す。
\({\small (2)}~\)\(1\) 以外に公約数をもたない2つの自然数
\(a~,~b\) を用いて \({\Large \frac{\,a\,}{\,b\,}}\) と表す。
※ \(1\) 以外に公約数をもたない=互いに素
このどちらかを用いて証明する。
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問題解説:背理法
問題解説(1)
\({\small (1)}~\sqrt{2}\) が無理数であるとき、\(\sqrt{2}+3\) が無理数であることを証明せよ。
[証明]
\(\sqrt{2}+3\) が有理数であると仮定すると、有理数 \(a\) を用いて \(\sqrt{2}+3=a\) とおくことができる。$$\hspace{ 10 pt}\sqrt{2}+3=a$$$$\hspace{ 28 pt}\sqrt{2}=a-3$$ここで、右辺の \(a-3\) は有理数どうしの差となるので、有理数となります。
これは、左辺の \(\sqrt{3}\) が無理数であることに矛盾します。
したがって、背理法より \(\sqrt{2}+3\) は無理数となります。[終]
問題解説(2)
\({\small (2)}~\sqrt{3}\) が無理数であることを背理法を用いて証明せよ。ただし、自然数 \(n\) について、\(n^2\) が3の倍数ならば、\(n\) も3の倍数となることを用いてよい。
[証明]
\(\sqrt{3}\) が有理数であると仮定すると、互いに素の2つの自然数 \(a~,~b\) を用いて、$$~~~\sqrt{3}=\frac{a}{b}$$と表すことができます。
これより、$$\hspace{ 10 pt}\sqrt{3}b=a$$$$\hspace{ 23 pt}a=\sqrt{3}b$$ここで、両辺を2乗すると、$$\hspace{ 10 pt}a^2=3b^2~~\cdots{\large ①}$$これより、\(a^2\) は3の倍数となるので、\(a\) も3の倍数となります。
(問題文の「\(n^2\) が3の倍数ならば、\(n\) も3の倍数となる」を用いる)
したがって、自然数 \(k\) を用いて、$$\hspace{ 10 pt}a=3k~~\cdots{\large ②}$$と表すことができます。
②を①に代入すると、$$\hspace{ 10 pt}(3k)^2=3b^2$$$$\hspace{ 18 pt}9k^2=3b^2$$$$\hspace{ 18 pt}3k^2=b^2$$$$\hspace{ 23 pt}b^2=3k^2$$よって、\(b^2\) が3の倍数となるので、\(b\) も3の倍数となります。
以上より、\(a\) も \(b\) も3の倍数となり、\(a~,~b\) が互いに素に矛盾します。
よって、背理法より \(\sqrt{3}\) は無理数となります。
今回のまとめ
背理法は重要な証明方法の1つとなります。また、有理数の性質や互いに素なども証明で使うので覚えておきましょう。