相加平均と相乗平均の関係と不等式の証明
\(a>0~,~b>0\) のとき、
「相加平均≧相乗平均」が成り立つので、
また、等号が成立するのは \(a=b\) のときとなります。
・不等式の証明への応用
相加平均と相乗平均の関係の式は次の形で用いられることが多いです。
\(a>0~,~b>0\) のとき、
例えば、
\(a>0\) のとき、次の不等式を証明せよ。$$~~~a+\frac{1}{a}≧2$$[証明]
\(a>0\) のとき、\({\Large \frac{1}{a}}>0\) となります。
よって、相加平均と相乗平均の関係より、$$~~~a+\frac{1}{a}≧2\sqrt{a\cdot\frac{1}{a}}=2$$ゆえに、$$~~~a+\frac{1}{a}≧2$$が成り立つ
また、等号が成立するのは \(a={\Large \frac{1}{a}}\) のとき、$$~~~a=\frac{1}{a}$$$$~~~a^2=1$$\(a>0\) より、$$~~~a=1$$よって、\(a=1\) のときである
[終]
解法の手順をまとめると、
① それぞれが正の値を示す \((a>0~,~b>0)\)
② 相加平均と相乗平均の関係より、不等式を証明する
③ 等号が成立する条件 \(a=b\) を考える
この解法を用いるのは、
\(a\) と \({\Large \frac{1}{a}}\) など、積が \(a\cdot{\Large \frac{1}{a}}\) となり数値となるパターンが多いです。
その他に \({\Large \frac{a}{b}}\) と \({\Large \frac{b}{a}}\) などがあります。
問題解説:相加平均と相乗平均
問題解説(1)
[証明]
\(a>0\) のとき、\({\Large \frac{4}{a}}\) となる
相加平均と相乗平均の関係より、$$~~~a+\frac{4}{a}≧2\sqrt{a\cdot\frac{4}{a}}=2\sqrt{4}=4$$
よって、$$~~~a+\frac{4}{a}≧4$$が成り立つ
また、等号が成立するのは \(a={\Large \frac{4}{a}} \) のとき、$$~~~a=\frac{4}{a}$$$$~~~a^2=4$$\(a>0\) より、$$~~~a=2$$よって、\(a=2\) のときである
[終]
問題解説(2)
[証明]
(左辺)$$~=\left(a+\frac{1}{b}\right)\left(b+\frac{4}{a}\right)$$展開すると、$$~=ab+a\cdot\frac{4}{a}+\frac{1}{b}\cdot b+\frac{1}{b}\cdot\frac{4}{a}$$$$~=ab+4+1+\frac{4}{ab}$$$$~=ab+\frac{4}{ab}+5$$
\(a>0~,~b>0\) より、\(ab>0~,~{\Large \frac{4}{ab}}>0\) となる
\(ab\) と \({\Large \frac{4}{ab}}\) について、相加平均と相乗平均の関係を用いると、$$~~~ab+\frac{4}{ab}≧2\sqrt{4\cdot\frac{4}{ab}}=2\sqrt{4}=4$$よって、$$~~~ab+\frac{4}{ab}≧4~\cdots①$$ここで、\(5 \) を両辺に加えると、$$~~~ab+\frac{4}{ab}+5≧4+5$$
ゆえに、\(\left(a+{\Large \frac{1}{b}}\right)\left(b+{\Large \frac{4}{a}}\right)≧9\) が成り立つ
また、等号が成立するのは①より、\(ab={\Large \frac{4}{ab}}\) のとき、$$~~~ab=\frac{4}{ab}$$$$~~~(ab)^2=4$$\(ab>0\) より、$$~~~ab=2$$よって、\(ab=2\) のときである
[終]
今回のまとめ
相加平均と相乗平均の関係の式は不等式への応用方法を覚えましょう。また、等号が成立する条件も示すことを忘れないようにしましょう。