絶対値を含む不等式の証明のやり方
Point:絶対値を含む不等式の証明絶対値を含む不等式では次の式の形に式変形して証明することが多いので覚えておきましょう。
実数 \({\rm A}\) について、
実数 \({\rm A}\) について、
$$|{\rm A}|≧{\rm A}~\Leftrightarrow~|{\rm A}|-{\rm A}≧0$$
絶対値を付けた値の方が元の値以上となることを利用しています。
・絶対値の性質
計算する上で次の性質を使います。
実数 \(a~,~b\) について、
$$~{\large ①}~|a|^2=a^2~$$$$~{\large ②}~|ab|=|a||b|~$$$$~{\large ③}~\left|\frac{a}{b}\right|=\frac{|a|}{|b|}~~(b\neq0)~$$
問題解説:不等式の証明④(絶対値)
問題次の不等式を証明せよ。$$~~~|a+b|≦|a|+|b|$$
この問題では (右辺) の方が大きくなるので、(右辺)2−(左辺)2を考えます。
[証明]
\(|a|+|b|≧0~,~|a+b|≧0\) より、平方の差を考えると、$$~~~~~~(|a|+|b|)^2-|a+b|^2$$右の部分の展開は絶対値の性質 \(|a+b|^2=(a+b)^2\) より、$$~=|a|^2+2|a||b|+|b|^2-(a^2+2ab+b^2)$$また、\(|a|^2=a^2~,~|b|^2=b^2~,~|a||b|=|ab|\) より、$$~=a^2+2|ab|+b^2-a^2-2ab-b^2$$$$~=2|ab|-2ab$$$$~=2(|ab|-ab)$$ここで、\(|{\rm A}|-{\rm A}≧0\) より$$~=2(|ab|-ab)≧0$$よって、$$~~~(|a|+|b|)^2-|a+b|^2≧0$$ゆえに、$$~~~(|a|+|b|)^2≧|a+b|^2$$が成り立つ
ここで、\({\rm A}≧0~,~{\rm B}≧0\) のとき、\({\rm A}^2≧{\rm B}^2~\Leftrightarrow~{\rm A}≧{\rm B}\) より$$~~~~~~|a|+|b|≧|a+b|$$したがって、$$~~~~~~|a+b|≦|a|+|b|$$[終]
今回のまとめ
絶対値を含む不等式の証明でも平方の差 (左辺)2-(右辺)2 を考えて計算していきましょう。また、絶対値の性質は使えるように覚えておきましょう。
【問題一覧】数学Ⅱ:式と証明
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