数学的帰納法と等式証明
証明の基本手順は、
① \(n=1\) のときに命題が成り立つことを、\(n=1\) を代入することで示します。
② \(n=k\) のとき、命題が成り立つことを仮定します。このとき、\(n=k\) とした式を条件式としてつくります。
③ \(n=k+1\) のときに成り立つことを、上の条件式より示します。
④ 以上より、すべての自然数 \(n\) について命題が成り立ちます。
\(n=k+1\) のときの左辺を考えて、これに \(n=k\) のときの条件式を代入して \(n=k+1\) の右辺を導き出します。
問題解説
[証明]
( ⅰ ) \(n=1\) とき、
左辺は、$$~~~~~~1\cdot3=3$$右辺は、$$~~~~~~\frac{1}{6}\cdot1(1+1)(4\cdot1+5)$$$$~=\frac{1}{6}\cdot1\cdot2\cdot9$$$$~=3$$よって、等式は成り立ちます。
( ⅱ ) \(n=k\) のとき、等式が成り立つと仮定すると、$$~1\cdot3+2\cdot5+3\cdot7+\cdots+k(2k+1)$$$$\hspace{ 80 pt}=\frac{1}{6}k(k+1)(4k+5)$$\(n=k+1\) のとき、命題の左辺は、$$~~~~~~1\cdot3+2\cdot5+3\cdot7+\cdots$$$$\hspace{ 35 pt}+k(2k+1)+(k+1)\{2(k+1)+1\}$$上の条件式を代入すると、$$~= \frac{1}{6}k(k+1)(4k+5) $$$$\hspace{ 60 pt}+(k+1)\{2(k+1)+1\}$$$$~= \frac{1}{6}k(k+1)(4k+5) +(k+1)(2k+3)$$$$~= \frac{1}{6}k(k+1)(4k+5) +\frac{6}{6}(k+1)(2k+3)$$$$~=\frac{1}{6}(k+1)\{k(4k+5)+6(2k+3)\}$$$$~=\frac{1}{6}(k+1)(4k^2+5k+12k+18)$$$$~=\frac{1}{6}(k+1)(4k^2+17k+18)$$$$~=\frac{1}{6}(k+1)(k+2)(4k+9)$$$$~=\frac{1}{6}(k+1)\{(k+1)+1\}\{4(k+1)+5\}$$よって、$$~1\cdot3+2\cdot5+3\cdot7+\cdots$$$$\hspace{ 35 pt}+k(2k+1)+(k+1)\{2(k+1)+1\}$$$$\hspace{ 20 pt}= \frac{1}{6}(k+1)\{(k+1)+1\}\{4(k+1)+5\}$$これより、この等式は \(n=k+1\) のときも成り立ちます。
( ⅰ )、( ⅱ )により、等式はすべての自然数 \(n\) について成り立ちます。[終]
今回のまとめ
数学的帰納法は重要な証明となりますので、手順を押さえておきましょう。また、等式のときの条件式の使い方も覚えておきましょう。