式の展開の工夫
① 共通部分を他の文字で置き換える。
\(a+b=t\) とすると、
\((a+b+c)^2=(t+c)^2\)
② \(t\) の式として展開する。
\((t+c)^2=t^2+2ct+c^2\)
③ \(t\) をもとの式に戻し、さらに展開する。
\(t=a+b\) と戻して、展開すると、
\(\begin{split}&(a+b)^2+2c(a+b)+c^2\\[2pt]~=~&a^2+b^2+c^2+2ab+2bc+2ca\end{split}\)
また、\((x+y+3)(x+y-2)\) の展開でも、
\(x+y=t\) と置き換えて展開できる。
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そのままの順序で計算すると複雑になる場合は、
\((x^2+9)(x+3)(x-3)\)
※ \((x^2+9)(x+3)\) を先に展開すると式が複雑になり、その後の計算が大変になる。
① 展開した式に共通部分が出てくるように、順序や組合せを工夫して展開する。
後半部分を先に展開すると、
\(\begin{split}&(x^2+9)(x+3)(x-3)\\[2pt]~~=~&(x^2+9)(x^2-9)\end{split}\)
② 共通部分を利用して、全体を展開する。
\(x^2\) の1つの文字として展開すると、
\(\begin{split}~~=~&(x^2+9)(x^2-9)\\[2pt]~~=~&x^4-81\end{split}\)
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問題解説:式の展開の工夫
問題解説(1)
次の式を展開せよ。$${\small (1)}~(a+b-2c)(a-b-2c)$$
この問題は共通部分を1つにまとめて、他の文字に置き換えるパターンです。他の文字に置き換えなくても計算できますが、ここでは置き換えて丁寧に解いていきましょう。$$~~~~~~(a+b-2c)(a-b-2c)$$まず \( a-2c \) が共通しているので \( a-2c=t \) と置き換えると、$$~={(a-2c)+b}{(a-2c)-b}$$$$~=(t+b)(t-b)$$式の展開公式 \( (A+B)(A-B)=A^2-B^2 \) より$$~=t^2-b^2$$ここで、\( t=a-2c \) と元に戻すと$$~=(a-2c)^2-b^2$$$$~=a^2-2\cdot a \cdot 2c+(2c)^2-b^2$$$$~=a^2-4ac+4c^2-b^2$$よって、答えは \( a^2-4ac+4c^2-b^2 \) となります。
問題解説(2)
次の問題は展開する順序を工夫するパターンです。 この問題をそのまま先頭から展開していくと…$$~~~(x+1)(x+2)(x+3)(x+4)$$$$~=(x^2+3x+2)(x+3)(x+4)$$$$~=(x^3+3x^2+3x^2+\cdots$$このように以降の計算が非常にめんどくなくなります。
また、初めの2つのカッコと後の2つのカッコをそれぞれ展開すると、 $$~~~(x+1)(x+2)(x+3)(x+4)$$$$~=(x^2+3x+2)(x^2+7x+12)$$この場合でも以降の計算が非常にめんどくなくなります。
よって、ここでは展開したときに共通部分が出てくるに展開してみましょう。 $$~~~~~~(x+1)(x+2)(x+3)(x+4)$$$$~=(x+1)(x+4)(x+2)(x+3)$$順序を入れ替えて展開すると、 $$~=(x^2+5x+4)(x^2+5x+6)$$よって、\(x^2+5x \) が共通部分として出てきました \(x^2+5x=t \)とすると、 $$~=(t+4)(t+6)$$\( t \)の式として展開すると、 $$~=t^2+10t+24$$ここで、\(t=x^2+5x \)と元に戻すと $$~=(x^2+5x)^2+10(x^2+5x)+24$$$$~=(x^2)^2+2\cdot x^2 \cdot 5x+(5x)^2$$$$~~~~~~~~~~~~~~~+10\cdot x^2+10 \cdot 5x+24$$$$~=x^4+10x^3+25x^2+10x^2+50x+24$$$$~=x^4+10x^3+35x^2+50x+24$$よって、答えは\(x^4+10x^3+35x^2+50x+24\)となります。
今回のまとめ
式の展開において、そのまま計算したら非常に計算が面倒になる問題を工夫して簡単に計算する方法を覚えておきましょう。